8月4日(日)、自立生活センター・エコーでは、先日ブログやfacebookでもご紹介した「寺嶋千恵子氏講演会」を北九州市戸畑区にある「ウェルとばた」で開催しました。

 

これも先日ご紹介しましたが、寺嶋さんは名古屋市在住で、脊髄性筋萎縮症(以下、SMA)という障害を持ち、24時間の介助を受けながら生活をされている方です。寺嶋さんは自らの経験を生かしながら、障害がある仲間の自立支援の活動を10年以上続けられています。そして昨年春に妊娠がわかり、医師からは「生まれる可能性は99%ない」と言われる中、見事に男の子を出産されました。

 

寺嶋さんは、2歳の時にSMAと診断されたこと、家族や友人などの周りの人たちの支えもあって一般の学校と特別支援学校の両方に通い、高校時代に3週間アメリカにホームステイしたこと、短大に進学・卒業して一人暮らしを始めた後に自立生活センターと出会って東京で研修を受けたこと、ご主人と出会い妊娠・出産したこと、今の生活や子育ての様子、自立生活センターでの活動のことなど、いろいろなことを話してくださいました。

その中でも「障害があると当たり前の生活すら大変だと思い、あきらめてしまいがちだけれども、障害があるからできないわけではなく、周りにサポートがあるかないかということ、私は自立生活センターと出会ったおかげで支えてくれる周りのサポートがあったし、今も主人をはじめとした多くの人たちの一日24時間のサポートのおかげで自分の生活や子育てができている。最重度の障害者が地域で生活できる社会こそ誰もが住みやすい社会だと思うし、障害者が地域で生活することで偏見や差別のない社会に変わっていくのだと思う。妊娠した時も、医者からは『(出産した)前例がない。99%可能性はない』と言われたけれども、『前例がないことと可能性がないことは違う』と思って、あきらめずに決断して出産した。皆さんも、いろんなことをあきらめないでほしい。」などの言葉は、お話を聴いた皆さんの心に強く響いたように思います。お話が終わった後も、何人もの参加者からたくさんの質問が出て、寺嶋さんは丁寧に答えてくださいました。

そして、この講演会には、同じ北九州の自立生活センターだけではなく、下関、松山、宮崎など遠くの自立生活センターの仲間の皆さんも参加してくださいました。

 

エコーでは、今回のような講演会を今後も企画・開催していくつもりですので、どうぞよろしくお願いいたします。

また、この寺嶋さん講演会について、(福岡市版のみではありますが)読売新聞に紹介記事が掲載されましたので、記事の画像をアップさせていただきます。

なお、視覚に障害をお持ちの方は、画像のままでは読み上げソフトなどで読むことが出来ないので、以下に読売新聞の記事の内容を書いておきます。よろしくお願いいたします。

(文責:井瀬政裕)

 

「障害あってもあきらめない」(2019年(令和元年)8月5日(日曜日) 読売新聞朝刊(福岡市版))

筋力低下や筋委縮(いしゅく)が進行する難病「脊髄性筋萎縮症」を抱えながらも、結婚、出産をした名古屋市の寺嶋千恵子さん(32)の講演会が4日、北九州市戸畑区のウェルとばたで開かれた。障害者や介助者ら約50人が参加し、寺嶋さんは「障害があっても、やりたいことや本当に大切なことはあきらめないでほしい」と訴えた。

難病の寺嶋さん、北九州で講演

障害者の自立を支援する同市小倉南区の自立生活センター「エコー」が企画した。田良島さんは「あきらめなかった私の軌跡」と題して講演。2歳の時に難病と診断され、現在は日常生活のほぼ全てで介助が必要なほど重度の障害があるが、昨年、男児を出産した。妊娠が分かった時、医師からは「死の危険性が高い」「前例がない」と告げられたものの、「前例がないから可能性はゼロ、というのは違う。リスクはあったが、夫を含め支えてくれる人がいると信じられたから決断できた」と、出産までの思いを振り返った。

障害者の支援団体で活動しており、「当たり前の生活をあきらめている人もいるはず。自分らしく暮らせる社会になってほしい」と語った。

寺嶋さんと同じ障害のある宮崎市の新坂真子さん(21)は「結婚や出産はできないだろうと思っていたが、(講演を聴いて)希望を持った。私もあきらめずいろいろなことに取り組みたい」と話していた。