長野県の事例

重度訪問介護の24時間利用の立ち遅れ気味の長野県の事例です。
長野県では、2015年より上田市で一人暮らしの筋ジスの井出今日我さんが毎日24時間の重度訪問介護を受けています。これが長野県の24時間介護の初事例です。現在は、長野市(小林さゆりさん・一人暮らし・ALS)と上伊那郡のA村(家族同居・筋ジス)で24時間の支給決定事例があります

井出さんは、子供の頃からの障害であるジュシャンヌ型筋ジストロフィーで、上田市にある大学に通うために大学近くにアパートを借り、県内他市の実家を出て、アパートに暮らしていました。その時は、母親が住み込んで介護を受けていました。
卒業後は、昼間は身体介護の飛び飛び利用で、その合間に企業の仕事を自宅勤務で行っていました。夜の介護は地域で受けられず、やむなく母親です。しかし、母親も実家の夫の元に帰らないといけません。井出さんも一人暮らしを希望していました。そこで、介護保障協議会(以下協議会)に2014年に相談がありました。
長野県では当時24時間の重度訪問介護利用者がいませんでしたが、他県では実例が多くあることを井出さんは学び、自立生活を希望していました。そこで、協議会が交通費や介助費用を負担し、井出さんに東京や群馬の自立生活センター(CIL)まで何度か24時間介護利用者の生活の見学や宿泊体験など研修に来てもらいました。(移動中は友人に介助のアルバイトを依頼して、東京では東京のCILのヘルパー利用)。東京のCILで、自薦ヘルパー利用に必要な、介助者との関係のとり方や制度についてなどの自立生活プログラム講座も受講しました。
重度訪問介護の申請を毎日24時間で行うことにしたかったでのすが、自宅勤務だったため、現在は勤務中にはヘルパー制度利用ができないため、平日昼間は身体介護を使うしかありません。そこで、平日昼は従来の身体介護を利用し、それ以外の時間を重度訪問介護利用とするプランを立てました。障害福祉サービス利用には、相談支援事業所の作るサービス等利用計画の提出も必要です。そこで、地元の相談支援事業所には24時間の重度訪問介護の計画を作ったことがある相談員がいなかったので、協議会を通じ、群馬県のCILの相談支援事業所と契約しました。群馬ではすでに24時間介護利用者が10年以上前からいます。群馬の相談員が市に説明して、本来は同時に利用できない重度訪問介護と身体介護ですが、国の通知の特例(重度訪問介護事業者がサービス提供できない時間帯に、別の事業者が身体介護を提供できるときは同時利用可)を使い、市に説明し、認められました。上田市は、重度訪問介護等の障害ヘルパー24時間の支給事例が初めてのため、当初は、地域の事業所の会議などに議題としてかけて認められないと決定しないなどと言っていましたが、相談員から、そのようなことは国は認めていないことなどを指摘し、無事に希望の重度訪問介護の支給決定がされました。
そして、井出さんは、全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の支援で、自薦ヘルパーの求人を行い、常勤ヘルパー4人を採用し、1人ぐらしをはじめました。そして、数カ月後に、自らもCIL立ち上げ準備活動をボランティアで行いたいということで、企業の仕事をやめ、平日昼間も重度訪問介護に変更することにし、市から毎日24時間の重度訪問介護が決定されました。
井出さんは現在は重度障害者の支援活動を始めており、CILの研修を受けるために毎月のように全国各地に出かけています。(重度訪問は宿泊を伴う外出にも利用できます)
長野県内では、車で2時間以上離れた、上伊那郡の筋ジスの方の重度訪問介護の申請書づくり(2019年に家族同居で毎日24時間の支給がされた)を情報提供面で手伝ったりしています。

井出さん(前列右)とCIL上田Gropingの仲間