全国介護保障協議会では、制度の解説・情報等をHPに掲載しています。
当会HPより2015年1~6月の情報を転載致します。

秋田県大潟村が入院コミュニケーション支援の利用時間上限を撤廃 
(重度訪問介護の支給決定時間まで利用可能に)

秋田県大潟村は、地域生活支援事業の入院時コミュニケーションサポート事業の利用可能時間を、重度訪問介護等の支給決定時間と同時間まで利用できるように改善しました。(入院コミュニケーション支援の単価は重度訪問介護と同じ)。自宅で生活する、重度訪問介護等の長時間サービス利用の利用者が入院時に、慣れた重度訪問介護等のヘルパーを、毎日同じ時間だけ病室で利用できるようになりました。

ALSの当事者と家族の交渉によって制度が作られ、改善されました。

例えば、月400時間の重度訪問介護利用者なら、数ヶ月入院しても入院時コミュニケーションサポート事業は毎月400時間利用可能になりました。

入院月と退院月は、障害福祉サービスの訪問系の利用時間と入院時コミュニケーションサポート事業を合わせて、訪問系の支給決定時間までの利用となります。例えば、月400時間の重度訪問介護の支給量がある場合に、自宅で100時間重度訪問介護を使ったあと、月の途中で入院開始したら、入院中は300時間まで利用できる制度となっています。

重度訪問介護もコミュニケーション支援も市町村負担は4分の1のため、補正予算を柔軟に組んで対応することになったと思われます。(ただし、コミュニケーション支援事業の入る地域生活支援事業は市町村の規模ごとの補助上限額がありますので、移動支援など他事業で目一杯使っていると、補助上限枠を超えるので、超えた部分は市町村全額負担になります)。

なお、言語障害がない障害者は利用できません。

以下に大潟村の入院時コミュニケーションサポート事業の要綱を掲載します。
(要綱内の下線は介護制度情報で引きました)

《以下太字》
大潟村重度障がい者等入院時コミュニケーションサポート事業実施要綱
《太字ここまで》

(目 的)
第1条 この事業は、意思疎通が困難な重度の障がい者が医療機関に入院する場合に、コミュニケーションサポート事業従事者を派遣し、病院スタッフとの意思疎通の円滑化を図ることを目的とする。

(実施主体)
第2条 本事業の実施主体は大潟村とし、村長は、この事業を適切に運営できると認める事業者に委託するものとする。
2 本事業は、障害者自立支援法に規定する地域生活支援事業とする。

(対象者)
第3条 本事業の対象者は、次のいずれにも該当する者とする。
(1) 大潟村在住で、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者、知的障害者福祉法にいう知的障害者、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者、児童福祉法第4条第2項に規定する障害児のいずれかに該当する者

(2) 障害者自立支援法(平成17 年法律第123 号。以下「法」という。)第21 条第1 項に規定する障害程度区分の認定が区分6の者(障害児にあってはこれに相当する心身の状態)で、法第5条第3項に規定する重度訪問介護あるいは、法第5条第9項に規定する重度障害者等包括支援の障害福祉サービスの利用を行なっている者

(3) 法第21 条第1 項に規定する「障害程度区分認定のために聴き取る認定調査項目」におけるコミュニケーション等に関連する項目のうち、「6-3-ア 意思の伝達」、「6-3-イ 本人独自の表現方法を用いた意思表示」、「6-4-ア 介護者の指示への反応」、「6-4-イ 言葉以外のコミュニケーション手段を用いた説明の理解」のいずれかが「できる」以外と認定されている者

(4) 介護者がいない者又はこれに準じる者

(事業内容)
第4条 本事業の内容は、入院時における医療従事者との意思疎通の円滑化を図る支援とし、診療報酬の対象となるサービスは対象としない。

2 利用期間は、1 回の入院につき入院初日から6ヶ月間までとし、《以下下線》利用時間は、障害福祉サービス受給者証に記載された時間《下線ここまで》を上限とする。

(事業費)
第5条 本事業にかかる費用(以下、「事業費」という。)の額は、、介護給付費等単位数で規定する《以下下線》重度訪問介護(日中・加算無し)の単価《下線ここまで》により算出する。

2 事業費から、利用者負担を控除した額を委託料とする。

(利用者負担)
第6条 利用者の負担は、原則として事業費の1 割とし、利用者が事業者に納付することとする。

2 利用者負担の額は、障害福祉サービス受給者証に記載された利用者負担上限月額を上限とする。

(利用申請)
第7条 利用の申請は、「大潟村重度障がい者等入院時コミュニケーションサポート事業利用申請書」(様式第1号、以下「申請書」という。)に次の関係書類を添えて、行うものとする。

(1) 医療機関が発行する入院期間を証明するもの

(2) 障害福祉サービス受給者証

(3) その他利用に際して必要な書類

(利用決定)
第8条 村長は申請書等の内容を確認し、「大潟村重度障がい者等入院時コミュニケーションサポート事業費利用決定(却下)通知書」(様式第2号)により利用申請者に通知しなければならない。

2 利用決定を行なう内容は次の通りとする。

(1) 利用者氏名

(2) 委託事業者

(3) 利用期間及び時間

(4) 利用者負担上限月額

(5) 却下の場合はその理由

(6) その他サービス利用に際して必要な事項

(事業者)
第9条 事業者は、法第29条第1項の指定障害福祉サービス事業者で、利用者の在宅生活において障害福祉サービスを提供している事業者とする。

2 事業者は、本事業の利用者が病院スタッフとの意思疎通が円滑に図れるよう、前項に規定する事業従事者を派遣し、コミュニケーションに要する支援を適切かつ効果的に行わなければならない。

3 事業者は、コミュニケーションに要する支援を行った場合、その内容を記録し関係書類を5年間保管しておかなければならない。

(事業従事者)
第10条 事業従事者は、利用者の在宅生活において法に基づく居宅介護あるいは重度訪問介護のサービス提供を行なっていた者でなければならない。

2 事業従事者が、本事業のサービスを提供する際は、身分を証する書類を携行させ、利用者又は院内スタッフから提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

(調査及び指導監査)
第11条 村長は、必要があると認めるときは、利用者及び事業者又は事業従業者に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を求め、又は本村の職員に質問させることができる。

3 事業者は、調査並びに指導監査に協力するとともに、指導又は助言を受けた場合、それらに従って必要な改善を行わなければならない。

4 本村の職員は、調査又は指導監査を行うときは、身分証明書を携帯し、請求があるときはこれを提示しなければならない。

(委託料の請求及び支払)
第12条 事業者は、委託料の支払いを受けようとする際は、請求書及び「大潟村重度障がい者等入院時コミュニケーションサポート事業費実績管理票」(様式第3号)をサービス提供終了後、速やかに村長に提出しなければならない。

2 委託費の請求は月ごとに行うものとする。

3 村長は、事業者より前項により請求があったときには、第5条及び第6条の基準に照らして審査し、請求日後、30日以内に支払うものとする。

(不正利得の返還)
第13条 村長は、偽りその他不正の手段により委託料の支給を受けた事業者があるときは、その者に対し、その委託料の額に相当する金額の全部又は一部を返還させることができる。

(その他)
第14条 この要綱に定めるもののほかこの要綱の施行に関し必要な事項は、村長が定める。