新型コロナの特例で、厚労省は、ヘルパー研修の全種類の講義部分はスカイプなどの動画通話で実施できると通知しました。
これを受けて、東京都では、障害者団体の緊急要望で重度訪問介護の動画研修の許可がスタートしました。
重度訪問介護のヘルパー研修は「講義10時間」+「障害者自宅で介護見学実習10時間」の合計20時間のため、完全に会場に行かずに資格が取れることになりました。さくら会や広域協会などがすでに動画研修をスタートしています。
従来は北海道などからもALS患者の自薦ヘルパー等が、東京で重度訪問介護ヘルパー研修を受けるために飛行機で受講生が来ていましたが(365日受講できるのは東京の団体だけのため)、新型コロナの緊急事態中はスカイプ等で講義が受講できます。(実習は地元の利用者自宅で変わらず受講)。このため、北海道など遠方の利用者のヘルパーも、ヘルパー自宅で講義を受講し、介護に入る利用者の自宅に実習に行くだけで重度訪問ヘルパー資格が取れますので、新型コロナ感染の心配がなくなりました。

なお、吸引等の3号研修を含んだ重度訪問介護統合研修は実習があるため、動画では受講できません。東京都は、「吸引等は違法性阻却でやってください」と言っています。(民法の違法性阻却で、3号研修を受けていなくても、緊急時なので、吸引や経管栄養ができるという考え方。なお、ヘルパーが吸引できることを示した平成15年と17年の通知は今でも生きており、違法性阻却になると思われる条件例を示した技術的助言。利用者とヘルパーが同意書を交わして吸引を行う。この通知は、コロナに関係なく、今でも生きている。)
違法性阻却の判断は裁判所ですが、過去にも、利用者から依頼されて他に方法がなく行うヘルパーの吸引や経管栄養を、裁判所が医師法違反と判断した例はありません。さらに今は緊急事態宣言中ですから、3号研修は不要不急です。ますます、違法と判断されることは有りません。全国の関係者は、安心して、3号研修無しで吸引や胃ろうなどの介護を行ってください。もちろん、事前に障害者本人や家族と一緒に十分な練習(ペットボトル練習機などを使い)をして安全に行ってください。