医療的ケア(医療類似行為)について過去に、厚労省と当事者団体との間でどの様な経過を辿り、今の制度に結び付いたのか紹介します。
2010年9月、全国脊髄損傷者連合会を事務局に、医療的ケアを使っている障害者のいる障害者10団体で、厚生労働省との意見交換会を行いました。
医師法を所管する医事課(医療行為か否かを判断する部署)と、障害保健福祉部障害福祉課と企画課が参加しました。
*参加障害者団体
・全国脊髄損傷者連合会
・全国障害者介護保障協議会
・ALS/MND在宅支援さくら会
・全国遷延性意識障害者・家族の会
・バクバクの会 (人工呼吸器を使用している障害児の親の会)
・ベンチレーター使用者ネットワーク(JVUN)
・全国自立生活センター協議会(JIL)
・TIL呼ねっと (都内のCILに所属する人工呼吸器使用者の団体)
・静岡障害者自立生活センター
・ホップ障害者地域生活支援センター(札幌市の団体)
医事課は吸引と経管栄養以外の医療的ケア(摘便やカニューレ交換などいろいろ)については、グレーゾーンなので、2001年の障害者団体との交渉当時の医事課の回答(HP参照)を踏襲して、従来どおりの対応をします(医療行為かどうか判らない)と確認しました。つまり、今まで通り、介護保険や自立支援法のヘルパーが医療的ケア(医療類似行為)を行うのは事業所の自由です。
(吸引と経管栄養については、今の検討会でヘルパー・施設職員などすべてが「医行為だけども一定研修を受ければできる」というような扱いにする)
次ページより医事課の口頭での回答内容をそのまま掲載します。
医事課とのやり取りの詳細記録です。
(先にこちらをお読みください↓↓)
■2010年9月交渉当日の要望書(制度解説あり)と2000年と2001年 交渉報告
医事課:今回、たんの吸引と経管栄養は「医行為だけども一定研修を受ければできる」というふうな扱いにする、というのが検討会の内容ですが、医行為だけどもできますよ、というのを今回明確化しました。(それ以外の医療的ケア全般についてグレーゾーンということでいいですかとの質問ですが)グレーゾーンの話というのは、新しく取り扱いを変えるというわけではありません。グレーゾーンが医行為ではないとはっきり言えという多分ご指摘だと思うんですけども、そうすると白か黒はっきりつけろということになりますので、そこはすべて個別の判断になりますので、ただちに全部医行為じゃない、というふうにここで確認したいとおっしゃっていましたけど、やっぱりそこは個別の事情を見ないとわかりませんので、グレーゾーンのままではないかと思っております。
団体:ということは、2000年と2001年の交渉のときの回答であった、グレーゾーンでの取り扱いは、今後も変わらずということですか?
医事課:グレーであることは個別の事情を見ないとわからないっていう回答をせざるをえないので、それをグレーゾーンというふうにご理解いただければ。
団体:市町村からの問い合わせに対して、たとえば重度訪問介護でグレーゾーンの医療的ケアをやっていいのか市町村から問い合わせがあると思うが、医師法違反と言われると重度訪問介護を支給決定しない市町村がある。そこは、グレーゾーンの医療的ケアはグレーゾーンと答えていただけるのか?
医事課:市区町村からの問い合わせが医事課に日々寄せられているところですが、基本的には医行為といいましても非常に幅広いので、手術をするとか腹を開けるというのは医行為ですし、あとは、今持たれている検討会のテーマの、たんの吸引も医行為の可能性といいますか、医行為に該当していることがあると、要素がつきます。
手術については「医行為ですね」ということでお答えするところはあるんですけども、やはり今日の話で言う医療的ケアというのは非常に微妙なものが多いと思います。人体に影響があるのかないのかよくわからないと、体には触れるんだけども、影響があるのかちょっとよくわからないなあ、というところは結構あります。で、その辺はやはり最終的にはやっぱりグレーゾーン、「グレーゾーンといいますか、個別具体的な利用者さん患者さんの状況も含めて判断しないと、やはりなかなか電話で、この場で明確にはお答えできないですね」、という形で基本的にはお答えさせていただいております。
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